“がん末”とは何か?より良い最期のためにホスピスができることとは

ホスピスへの支援

ホスピスに入居される患者様には、がんや難病などの末期患者様が多くいらっしゃいます。その中でも、当記事では、「がん末」とは何か、その症状やケアについて解説します。

がん末とは

「がんの末期」である状態を、看護師はしばしば略して「がん末」と言います。厚生労働省では、がんの末期とは、「治癒を目指した治療に反応せず、進行性かつ治癒困難又は治癒不能と考えられる状態と医師が総合的に判断した場合」と定義されています。ホスピスに入居される患者様は、「がん末」の方であり、疾患に伴う苦痛や不安等を緩和することで、最期まで自分らしく穏やかに過ごすことを目的としており、原疾患に対する積極的な治療は実施されません。また、がんの「ステージ分類」は0~4までの5段階が存在し、進行度等によって分類されています。数字が大きいほど状態が悪化し、治療困難となっていきます。ステージ4は一番深刻な状況ではありますが、必ずしも「末期」の状態ではありません。

がん末の症状

がん末によく出現する症状としては、強い疲労感、がん性疼痛、嘔気、せん妄などが挙げられますが、がんの部位や発見段階の状態によって症状は大きく異なります。同一臓器のがんでも、がんの細かな場所や浸潤度、転移の有無、治療経過や使用薬剤、既往歴等によって様々な症状が現れます。

がん末の対症療法、ケア

ホスピスにおけるがん末のケアでは、延命でなく、症状緩和やQOLの保持・向上を重要視することが必要となります。「がん末」と言ってもその状態は様々であり、最近食事量が減少してきた方、疼痛が強くほとんど臥床にて過ごされている方、日常生活は問題なく送ることができている方など、症状や状況、経過も様々であり、一様には言えませんが、それらの不快な症状を緩和させていくことが主な対応となります。がんによる疼痛や呼吸苦にて、医療用麻薬やオピオイドを使用されている方も多く、薬剤管理や効果の評価、副作用等の観察、ADLやリビングウィル、使用できる社会制度の確認等、身体的、精神的、社会的、全体でのアプローチが重要となります。残りの人生を少しでも心穏やかに、疼痛や不安なく、自分らしく過ごせるよう、施設外のコメディカルとの医療・ケアチームとしての連携も肝となります。

ホスピスでの役割

入居者様にとって、がん末という時期は人生の最期の時間です。ご本人やご家族、周囲の方々はもちろんですが、ホスピススタッフにとっても悔いのないように、今求められていることは何か、できることは何かを考えることが大切です。最期の時間が理想の形となるよう、医療的知識や普段のご様子から、状況の予測、把握、適切な時期で実践できる体制を整えることがホスピスとしてならではの看護介護スタッフの役割であると言えるでしょう。

経験談

以前勤務していた施設では、スタッフ間でアツいカンファレンスが開かれることがありました。「利用者Aさんから桜が見たいと希望があったからお花見に行けないか?」「最近疼痛が強くて臥床時間が長いけど・・・」「外出は難しいかもしれないから部屋に桜を飾ろうか?」等、最期の時をより穏やかに自分らしく迎えられるよう意見を出し合うことがありました。Aさんのために動き出した時の看護師の役割は、桜を見る体調を整えるための医療的アプローチでした。医師と連携し、薬剤コントロールにて疼痛なく桜を見て過ごすことができる時間と、可能ならば外出ができる状況を作ること。介護スタッフは、お花見スポット探しや、どのように行くかまたはどこから桜を調達するか等、皆が同じ方向を向いて分担していました。その利用者様は桜を見て過ごした1週間後に亡くなりました。最期の時にこのような介入ができたことは、スタッフにとっての大きなやりがいとなりますし、施設の大きな魅力であると感じます。

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